中古戸建ての諸費用は、一般に**物件価格の6〜9%**と言われます。
でも、実際に明細をもらうと——「保証料」「登記費用」「融資代行手数料」「清算金」。
よく分からない名前ばかりが並んでいます。
わが家も、仲介手数料を除いて約130万円かかりました。
明細は、引渡しの前に銀行が送ってくれていました。だから見る時間はありましたし、実際に見ました。
そのとき思ったのは、「高い」でも「おかしい」でもありません。
これ、同意するしかないやつだ。
利用規約をザーッとスクロールして「同意する」を押すのと、同じ感覚でした。ここでごねたところで、何が変わるんだろう、と。
そして3年後。明細を見返して、気づきました。
この130万円の中には、「選べるお金」と「選べないお金」が混ざっていたんです。
この記事は、わが家の明細を1行ずつ「これは選べたのか、選べなかったのか」で仕分けした記録です。
築22年の中古戸建てを買った、わたし自身の記録です。
中古戸建ての諸費用、わが家の明細
一般に、諸費用の目安は**物件価格の6〜9%**と言われます。わが家の紙には、こう並んでいました。
| 費用 | 金額 | 選べる? |
|---|---|---|
| 保証料 | 50万円台 | △ 金融機関を決めた時点で、ほぼ決まる |
| 登記費用 | 約26万円 | △ 自分でもできるが、ローンを使うなら銀行が司法書士を指定する |
| 火災保険料(5年一括) | 約25万円 | ○ 比べられる |
| 融資代行手数料 | 約9万円 | ○ 自分でやれば0円 |
| 固定資産税清算金 | 約8万円 | ✗ 商習慣で決まる |
| 事務手数料 | 3万3千円 | ✗ 金融機関が決める |
| 収入印紙代 | 約2万円 | ✗ 法律で決まる |
| 合計 | 約130万円 |
そして、ここに「仲介手数料」が加わります。
分けたのには理由があります。諸費用の中で、自分で計算できるのは仲介手数料だけだからです。
仲介手数料 = 物件価格 × 3% + 6万円 + 消費税(ざっくり物件価格の3.5%くらい)
式が決まっているので、気になる物件の値段さえ分かれば、今すぐ計算できます。残りは金融機関や物件によって変わるので、見積もりをもらうしかありません。
※ このほかに、売買契約書に貼る印紙代(1万円)と、住宅診断の費用(約12万円)を先に払っています。
※ 金額は物件や借入額、地域で変わります。わが家の記録として読んでください。
こうして「選べる?」の欄を作ってみて、はっきりしました。
◯がついたのは、7つのうち2つだけです。
そして、いちばんもやもやしたのは**△の2つ**でした。
選べるはずなのに、実際には選べない——そういうお金があるんです。
選べなかったお金
先に、こちらから。ごねても変わらないお金です。
仲介手数料|物件価格の3.5%くらい
いちばん大きい項目ですが、上限は法律で決まっています。半額や無料をうたう会社もあるので厳密にはゼロではありませんが、わが家は満額払いました。
値切ろうと考えたことは一度もありません。中古は、担当者がどれだけ動いてくれるかで結果が変わるからです。
登記費用|約26万円(△ 選べるはずなのに、選べない)
家と土地の名義を自分に書き換える費用です。中身は2つに分かれます。
- 登録免許税(国に納める税金)… 計算のもとが固定資産税評価額なので、動かせません
- 司法書士への報酬… ここは、理屈のうえでは自分でやれば0円です
登記は、法律上は自分で申請できます。実際にやっている人もいます。
ただし、住宅ローンを使うなら、ほぼ無理でした。銀行はお金を貸すのと同時に家に抵当権をつけるので、その手続きを確実にするために司法書士を指定してきます。現金で買うなら本人申請という道もありますが、ローンを使う以上、ここはこちらが選べるところではありませんでした。
そしてもし選べたとしても、私はお願いしたと思います。平日に法務局へ何度か行くことになりますし、間違えたときのリスクは自分持ちです。労力に見合うかというと、正直、見合いません。
つまり登記費用は、**「自分でやれるはずなのに、実際にはやれないお金」**でした。
固定資産税清算金|約8万円
ここだけ、少し話があります。
わが家は1年分をまるごと払いました。だから当時の私は、「家を買ったんだから、固定資産税を払うんだな」と、それだけしか思っていません。
でも本当は、これは役所に納めるお金ではなく、売主さんに渡すお金でした。
固定資産税は、その年に家を持っていた人にまとめて請求がいきます。年の途中で家が売られても、請求先は変わりません。だから引渡し日を区切りに、買主が自分の分を計算して、売主さんに渡す。それがこの項目です。
明細には、はっきり「固定資産税清算金」と書いてありました。
私はこの「清算金」の3文字を、まったく見ていませんでした。 1年分そのままの金額だったので、ただの税金にしか見えなかったんです。
※ 区切りの日は地域の慣習で違います(1月1日の地域と4月1日の地域があります)。売買契約書に書いてあるので、そこで確認できます。
事務手数料・収入印紙代
どちらも金融機関へ。印紙代は住宅ローンの契約書に貼るもので、金額は法律で決まっています(こちらには軽減措置がありません)。
選べたお金
ここからが、動かせたところです。
火災保険料|約25万円(5年一括)
比べれば安くなる、数少ない項目です。
税金や手数料は金額が決まっていますが、保険は同じ補償でも会社によって差が出ます。
わが家は夫が調べてくれました。やり方は2段階です。
- 一括見積もりサイトで、まず候補を絞る
- そのあと、その保険が「ちゃんとおりているか」をネットで調べる
大事だったのは2つめだと思います。安いだけの保険を選んでも、困ったときに使えなければ意味がないよね、と言っていました。
そして——水災(水害の補償)はつけていません。
家を買う前にハザードマップを見て、水害のリスクがないと分かっていたからです。買う前に確認したことが、まさか保険を選ぶときに効くとは思っていませんでした。
※ ハザードマップの色がついていない場所でも、大雨で排水が追いつかず浸水することはあります。水災をつけるかどうかは、必ずご自身の土地の条件で判断してください。
なお、火災保険は引渡しの日から効いていないと困ります。比べるなら、売買契約が終わったらすぐ動くのがおすすめです。引渡し直前は本当に時間がありません。
同じ補償でも、会社によって数万円変わることがあります。
わが家も、最初は違いがまったく分かりませんでした。だから、まず一括見積もりで並べてみるところから始めています。
融資代行手数料|約9万円
住宅ローンの手続きを、不動産会社に代行してもらう費用です。
これ、自分で銀行とやりとりすればかかりません。 私がそれを知ったのは、売買契約を結んだあとに自分で調べたときでした。
払うこと自体を後悔してはいません。何社かにまとめて事前審査を出してもらえたのは、たしかに助かりました。
ただ——払っているのに、直前まで何も言ってこないんです。他の銀行と比べ直しましょうという話も、条件を確認しましょうという話も、こちらから聞くまで出てきませんでした。
それでしびれを切らして、自分から言いました。「金利の条件を、もう一度掛け合ってもらえませんか」と。
結果、金利が少し下がり、団信に三大疾病の保障もつきました。
ただ、これはうちの場合はそうなった、というだけの話です。すでに審査が通っていたこと、担当の方が動いてくれたこと、タイミングが噛み合ったこと。いろいろ重なった結果なので、同じことをすれば同じ結果になるとは言えません。
それでも——払っているなら、言っていいと思います。
保証料|50万円台(△ 選べたのは「その前」)
金額としては、諸費用の中でいちばん大きい部類です。仲介手数料のすぐ後ろに迫っていました。
そして保証料は、金融機関ごとに違います。つまり選べるお金のはずでした。
でも実際には、金融機関を決めた時点で、もう決まっています。私は金利だけを見て決めてしまったので、保証料を比べる機会そのものを使いませんでした。
この50万円台を意識したのは、引渡しの直前です。
裏を返せば、こういうことです。
銀行選びを始める前なら、保証料も比べられます。
金利の一覧を見せてもらうその日に、「保証料と事務手数料は、それぞれいくらですか」と聞くだけ。それだけで、この項目は◯になります。
👉 住宅ローンの保証料とは?いくら・いつ払う?金利だけで選んで後悔しかけた話
そして、選んだ結果、上がったものもあります
わが家は契約の直前に、返済方式を元金均等から元利均等に変更してもらいました。駆け込みで読んだ本がきっかけです。
そのとき——保証料が上がりました。
だから、上の明細に載っている保証料は、実は変更前の金額です。手元にあるのは、そのときの紙なので。
選べるところを選んだら、別のところが増えた。選ぶというのは、そういうことでもあるんだと思います。
最後に
明細を見たとき、私は「同意するしかない」と思いました。
3年たった今も、その感覚は半分正しかったと思っています。
仲介手数料も、登記費用も、印紙代も、固定資産税の清算も。ごねたところで1円も変わりません。あの場で粘るのは、ただ疲れるだけです。
でも——全部がそうではありませんでした。
火災保険は比べられました。ローンの手続きも、自分でやれば手数料はかかりませんでした。返済方式は直前でも変えられました。金融機関を選ぶときに保証料を聞いていれば、そこも選べました。
そして、「選べるはずなのに、選べない」ものもありました。登記のように、制度のうえでは自分でできても、ローンを使う以上どうにもならないもの。これはこれで、早めに知っておくと諦めがつきます。
だから、家を買う前に全部を理解する必要はないと思います。あの時期に落ち着いて読み解ける人なんて、たぶんほとんどいません。リフォームの打ち合わせ、仕事、引っ越し、子どものこと。決めることが多すぎます。
ただ、「これは選べるお金なのか、選べないお金なのか」——それだけ先に知っておくと、あの紙の見え方は変わります。
同意するしかないところは、さっさと同意していい。
そのぶんの力を、選べるところに使えばいいんです。
私はそれを、3年遅れて知りました。





